相変わらず中国製品、特に中国産への批判、バッシングが続いております。
これまで中国産の食品を購入していた小売店も国産へのシフトを進めています。
が、考えてみてください。
なぜここまで中国産が日本で出回っているのか。
私見ですが、きっかけはダイエーの台頭にあったと思います。ダイエー創業者中内功氏が、流通革命をスローガンに小売店の販売力を武器に、末端小売側のイニシアチブを握りました(大体1970年代)。
この頃から「バイイングパワー」なる言葉が流行るようになったと思います。
要するに購買力を盾に取った、メーカーからの「たたき買い」です。
これを契機に食品(及びその他)の価格は末端価格がはじめにあって、それから原価がはじき出されるという、今となっては当然ですが、考えてみれば非常に不自然な動きが加速されるに到りました。
例えば、末端価格198円ならば、小売スーパーの取り分が50%として、100円で卸業者が販売せねばなりません。ということは、卸業者に販売する工場から出荷するメーカーの販売価格は大体80円前後になるわけです(卸業者はおおよそ10~15%取るのが通例だから)。
メーカーはこの販売価格(下代という)に見合った商品を開発せねばなりません。
80円で売るとなれば、工場人件費、工場稼動費、その他経費などを見て、大体30%の利益は必要。ということは50~60円で製品を作り上げなければならないことになります。
全ての商品がそうとは言いませんが、こういった小売店の「安値」へ競合に巻き込まれ、また高度経済成長により消費拡大が起こったため、物量確保のために、当時人件費が安く、物資が豊富にあった中国へ生産拠点が移行されました。
これは食品だけでなく、衣類や機械類など総合的に言えることです。
一時期は中国モノは「安かろう、悪かろう」でしたが、生産指導などによってかなり工場レベルも向上していたと思います。
が、ここへ来て中国産製品への不信感、また、中国の人件費の高騰・内需拡大などによって、中国製品が必ずしも安くて簡単に手に入るというわけには行かなくなりました。
(中国国内で富裕層が増え、消費拡大が起こり、日本へ流れてくる物資が中国国内で消費されている)
食品については、だからといって急に日本国内産に切り替えられるわけではありません。
まずモノがありません。
安値販売に叩かれまくった日本の農林水産物=食品はすでに生産者が激減(要するに稼げなくなった農家が止めてしまっている)、休耕地があちこちに見られます。
高度経済成長期に、人々の胃袋を満たすには国内製品だけでは足りないから中国へ目を向けた経緯があるのに、今更国内回帰を狙っても物量がついてきません。
「ほしいだけ、でも安く」
これを追い求めてきた日本の食文化のツケが今まわってきています。
北海道のミートホープの牛肉偽装事件で、容疑をかけられた社長が会見で「消費者にも責任がある」と述べていたのは、ある意味、今の日本の食文化のあり様を示していると思います。
(だからといってやった事を支持しているわけではありません)
私からの提言ですが、もう日本の農林水産業は手遅れです。
畑から採れるもの、海から捕れるもの、その他。
諦めて国外産のものを食べるより無いのです。それが危険と分かっていても。
そこまで追いやったのは我々自身です。
それが嫌なら純国産原料、食品を買うしかありませんが。
価格がこれまでの4倍、5倍、6倍しても買えますか?
買えません。買わないでしょう。
だからだからいい加減に騒ぐのは止めたらどうでしょうか。