中国政府が台湾にパンダを送ることを決めたそうですが、そのパンダで台湾政府がもめまくっているようです。
野党国民党の主席、馬英九(台湾市長)は受け入れを歓迎、逆に現政権にあって台湾独立主張の陳水扁陣営は大陸の統一工作としてこれを警戒、拒否。
「パンダは共産党員じゃないから来てもいいじゃないか」VS「ワシントン条約なんかもあるし、むやみに連れてきちゃイカン」
屁理屈の応酬。
以前に民進党と国民党の現在の関係、国民の支持のあり方について書きましたが(あと
コレも)、もともと独立、中台分裂を主張していた国民党は現在柔軟化し、大陸側には「無茶言わないから、無茶してこないでね」的な態度をとっています。
大陸側と話合う姿勢を見せることによって得られる支持が大きく、実際それで立法院(国会にあたる)選挙でも勝利しているわけですが、この「パンダ」も現在の国民党の政策にとっては武器となりえます。
一方の民進党の党首であり台湾総統である陳水扁氏は、台湾独立派の支持を受けて政権を握っていますが、2000年の総統就任以来、政策面での評判がよろしくない。特に経済政策面ではボロカスの言われよう。
国民党とは逆の、つまり台湾独立を高らかに主張することによって自分のカリスマ性を浮き立たせ、支持を得ようと躍起になるのもそういった背景があるからです。
ただ、時代はもう台湾独立を後押しするようには動いていません。
朝鮮戦争以来、軍事兵器供給などを通じて台湾を支援していたアメリカも、現在は中国とよろしくやってますし、北朝鮮が変な動きをしているのに、中台の揉め事の面倒なんて見てられないのが本音です。
中国と台湾は平和的に統一なり、現状維持なりしていてほしい。
台湾が独立を強行して、中国VSアメリカ・台湾連合軍の戦争が起こるなんてのは想像しにくいですね。
そういうわけで、国際情勢からいって、台湾民進党の独立志向は「浮いている」形ですが、述べたとおり陳総統がムキになっているものだから、大陸から来る「パンダ」さえ目の敵にされてしまいます。
パンダ、かわいいのになぁ。パンダ。
政治的な思惑なしで台湾人がパンダを愛でることができる日は来るのでしょうか。